好きって気持ちは、本物だった。
嘘も駆け引きもなくて、まっすぐで。
でも――なぜか、相手には届かなかった。
連絡は減って、会話もぎこちなくなって、
気づけば、「あれ、何がダメだったんだろう?」と一人で考えている。

最近、そんな恋の相談を3人の友人から立て続けに受けました。
話を聴いていて、私はふと、同じ違和感を抱きました。
「この人たちは、なぜ相手が自分に恋愛感情があるか分からないまま、自分だけ100%好きになって突っ走るのだろうか?」
その答えを探っていくと、恋愛が上手く行かない人がやっていない、“あること”にたどり着きました。
この記事では、恋愛をはじめとしたコミュニケーションにおいて起きている、「たった1つの常識の差」について、一緒に探求していきます。
自分の気持ちだけのために頑張ったAさんの恋愛
最初に恋愛相談をしてきたのは、Aさん。
いつもは理性的で落ち着いた人なのに、このときばかりはかなり取り乱していた。
「裏切られたと思ってます」
「今までずっと優しくしてきたのに、意味が分からないです」

彼が話してくれたのは、後輩の女の子とのやりとりだった。
彼女は元カレのことで悩んでいて、Aさんはずっとその相談に乗っていたらしい。
・付き合っていると、他の男性と予定が入れづらくなるのが嫌だった
・日常の中で束縛されている感じがしてしんどかった
そんな話を、何度も何度も聴いていたという。
Aさんは、自然と思ったそうだ。
「なんでそんな彼氏と付き合ってたんだろう」
「俺ならそんなことしない」
「自分もそろそろ彼女がほしい。この子と一緒に夏祭りとか行けたら、絶対楽しいだろうな」
それからは、彼女の相談にこれまで以上に親身にのるようになった。
優しくして、共感して、愚痴を受け止めて、何度も何度も時間を割いた。

でも、彼女から返ってくるのはこんな言葉だった。
「Aさん、本当にいい人ですよね」
「でも恋愛対象としてはちょっと…」
「いい友達でいたいです」
それでもAさんは、諦めなかった。
市内で一番大きな夏祭りが近づいていて、誰かと一緒に行きたい気持ちが強くなっていた。
そしてある日、ついに気持ちを伝えたという。
「自分は付き合っても他の男性と会うことを制限しないし、束縛もしません。
だから、デメリットないと思うんです。付き合ってください」
その結果、振られた。
それどころか、
「彼氏ができたので、今後Aさんとは連絡を取れなくなりました」
というLINEが届いたらしい。
Aさんは憤っていた。
「今までと言ってることが違うじゃないですか」
「束縛が嫌だって言ってたのに、結局彼氏ができて俺とは連絡取れないって、矛盾じゃないですか」
「こっちはあんなに優しくしてたのに、意味が分からないです」

……正直、私は聴いていて、腹が立った。
もちろん、彼女にじゃない。Aさんに対してだった。
彼はずっと、“彼女が言った言葉”だけを鵜呑みにしていた。
「束縛が嫌」と言われたら、「束縛しない俺なら大丈夫だ」と思い込む。
「いい人ですね」と言われたら、「じゃあ付き合えるかも」と期待する。
でもそのどれもが、“彼女の感情”に目を向けていない。
どんなトーンで言っていたか、どんな空気だったか、どういう文脈だったのか。
そういう「心の温度感」は、一切見ようとしていない。

「デメリットないので付き合う」って、なんだろう?
それって、“付き合うこと”を自分本位の損得で測ってるだけじゃないか。
まるで条件がそろえばOKしてもらえる“契約”みたいな言い方だ。
相手はモノじゃない。
感情の生き物だ。
そんな言葉で告白されて、どうしてときめくと思ったんだろう。
一方的に“気持ち”をぶつけて、結果を求めて。
それでうまくいかなかったら、「裏切られた」「意味が分からない」。
それは恋じゃなくて、ただの“期待の押し付け”だ。
Aさんは、優しくもしていたし、時間もかけていた。
でもそれは、「相手のため」ではなく、「自分の感情の成就のため」だった。
そしてその過程に、一度でも相手の気持ちを“確かめよう”とするやりとりがあっただろうか?
……ない。
私の中に残ったのは、静かな怒りだった。
大切にされていなかったBさんの恋愛
次に恋愛相談をしてきたのは、Bさんだった。
マッチングアプリで出会った男性の話だった。
彼女いわく、過去一の手応えを感じた相手だったという。
「最初に会ったときから、すごく気が合うなって思ったんです」
「会話も自然で、笑いのツボも似てて、帰りたくなかったくらいで」
1回目、2回目と会うたびに、彼女の気持ちはどんどん加速していった。

「今までで一番、好きかも」
「この人とちゃんと付き合いたいなって、すごく思ったんです」
そして3回目に会ったとき、Bさんは勇気を出して伝えた。
「好きです。ちゃんとした関係になりたいです」

でも、返ってきたのは期待とは真逆の言葉だった。
「実は、他にも2人連絡を取ってる人がいて……」
「まだ誰かに決めきれなくて、ちゃんと比較したいんだよね」
彼女は戸惑ったという。
頭の中が真っ白になった、とも言っていた。

「それでも、諦めたくなかったんです」
「もう、あの人しか見えなくなってたから…」
比較されるのは嫌で不安で苦しいけれど、どうしても選んでほしくて、Bさんは男性と一晩を共に過ごす。
少しでも距離が縮まれば、と思って。
でも翌朝、彼から届いたLINEには、こう書いてあった。
「昨日、一緒にいても何も感じなかった。ごめん」

あまりに一方的な、突然の別れの言葉だった。
私はこの話を聴いていて、ただただ悔しかった。
Bさんのことが、ではない。
彼女が“自分を大切にしない人”のために、こんなにも傷ついてしまったことが、だ。
彼は確かに、魅力的な人だったのかもしれない。
話を聞く限り、コミュ力もあって、ノリもよくて、一緒にいて楽しいタイプなんだと思う。
でも、「彼がBさんのことをどう思っているか」
「彼がBさんを大切に扱っていたか」と考えると、どうしても違和感が残る。
たとえば、会えるかどうか分からない日の予定。
Bさんは「会えたら会いたい」と伝えていたのに、彼からは夕方まで何の連絡もなかった。
ずっとスマホを気にしていたBさんが、意を決して「今日どうなりそう?」とLINEを送ると、彼は「ごめんね」とも「こんな理由で返信が出来てなかった」とも言わず、
「あ、今日無理だわ」と一言だけ、ポンと返してきたらしい。

……それは、大切にされてないじゃないか。
そんな扱いをされてまで、どうして“その人”を好きでい続けたんだろう?
どうして、自分だけ100%で突っ走ってしまったんだろう?
私は、Bさんが悪いとは思わない。
むしろ彼女は、とても素直で、感情に正直な人だ。

でも、そのまっすぐさが――
「相手の気持ち」への確認をすっ飛ばしてしまっているように感じた。
相手がどう思っているか。
相手はどこまで自分に向き合ってくれているのか。
その“温度感のすり合わせ”が、どこにもなかった。
自分の気持ちが高まるほど、確認せずに突っ込んでしまう。
そして、傷ついて、悩んで、泣く。
私は、そんなBさんを見ているのが、ただただ悔しかった。
同時に、彼女の選択に対して「ちょっと待って」と言いたくなる違和感が、ずっと心に残った。
ずっと上手く行かないCさんの恋愛
Cさんの恋愛については、これまでにも 何度も話を聴いてきた。
そのたびに、悩んで、考えて、工夫して、
ときには「ちょっといい感じになってきたかも」と希望が見えたりもして――
でも結局、またすれ違って終わる。そんな繰り返しだった。
それでも、最近のCさんはまた少しずつ前を向いて、恋愛を頑張ろうとしていた。
「ちょっと気になる人が2人いるんだよね」と、Cさん。
1人目の人には、「今度2人でランチでもどう?」と誘ってみたという。
そのときは「いいですね!」と前向きな返事が返ってきた。
でも、そこから「じゃあお店どこにしようか」と送ったLINEに、1週間以上返信がない。

「さすがに、これは脈なしなんじゃ…?」と私は内心思ったが、
Cさんはまだ、少しだけ期待しているようだった。
もう1人とは、つい先日2人で会って、ちゃんと話もしたそうだ。
でも、「あまり深く話せなかった」という。
会話は続いたけど、どこか心の距離は埋まらなかったのだろう。
正直、どちらの相手もCさんを恋愛対象として見ているようには思えなかった。
だから、私は正直に伝えた。
「なんか……どっちも、Cさんのこと恋愛的には見てない感じですね」
Cさんは「そうなんだね、やっぱり」と苦笑いを浮かべた。

そこで私は、さらに聞いてみた。
「じゃあCさん的には、今の時点でどっちも“ちょっと気になる”って感じなんですか?」
すると、思いがけない返事が返ってきた。
「好き度は、うーん、30……いや、60くらいかな」
……え? 60?
相手の恋愛感情が「ほぼ0」に見えている状態で、
なんで自分は「60」まで気持ちが上がってるんだろう?
私は正直、ものすごく驚いた。
いや、もちろん、人の気持ちは自由だ。
好きになるタイミングやスピードは人それぞれ。
でも、それにしても不思議だった。
どうして、相手が自分をどう見ているかを、もっと気にしないんだろう?
どうして、相手の温度感を確認しないまま、自分だけどんどん盛り上がっていけるんだろう?

ふと、思った。
これまでCさんの恋愛の中で、「相手の恋愛感情がどのくらいあるか」という確認プロセスが、ほとんどなかったんじゃないか?と。
好きな人と話せた、2人で会えた、笑い合えた――
それだけで、なんとなく「これは脈ありかも」と思い込み、
自分の中だけで気持ちがどんどん育っていく。
でもその間、相手の“温度”は一度も測られていない。

温度がまったく違うまま、気持ちのギャップだけがどんどん開いていって、
ある日ふと、そのズレが“振られる”というカタチで露呈する。
それがCさんの恋愛のパターンになっている。。
それに気付いてしまった。
恋愛で見落とされがちな、たった一つの盲点
Aさん、Bさん、Cさん。
それぞれに違う恋愛をして、違う形で傷ついていた。
でも、3人の話を聴いているうちに、私ははっきりと共通する“ズレ”に気づいてしまった。
それは――
「相手の恋愛感情がどれくらいあるか」を、誰も確認していないということ。

もちろん、誰もが「相手が自分をどう思っているか」は気になるし、考えているとは思う。
でも、3人に共通していたのは、「好きになった理由」や「関係を進めたいという気持ち」に対して、相手の温度感との“すり合わせ”が一切されていないということだった。
Aさんは、「束縛されたくない」と言っていた後輩に対して、
「自分は束縛しないからデメリットがない」と語った。
まるで、論理的に優れている方を選ぶべき、という前提で。
でも後輩の中に、「Aさんのことを好き」という気持ちは存在していなかった。
それなのに、「こっちの方が条件が良いでしょ」という感じで告白されて、戸惑ったのだと思う。

Aさんは、“好意を向けていたのは自分だけだった”という現実に、全く気づいていなかった。
Bさんは、1〜2回目のデートで「楽しかった」「気が合う」と感じて、
もう100%の気持ちになっていた。
そして「好き」と伝えた。
でも相手の男性は、「他にも気になる人がいる」と言った。
それってつまり、「あなたに決めていないよ」「まだ判断中だよ」ってことだ。
でもBさんは、その“温度の差”を無視して、突き進んでしまった。
そして翌朝、あっさりと「何も感じなかった」と言われて終わる。

相手の気持ちが“まだ0〜30”だったのに、自分だけ“100”になっていた。
Cさんは、まだ相手からLINEの返事すら返ってきていない状態や、
会話が深まらなかった相手に対して、もう「好き60」くらいになっていた。
でも、その段階で相手がCさんに恋愛感情を持っている様子は、まったくなかった。
それなのに、「自分の気持ちの温度」だけを基準に、関係を進めようとしていた。

これって、3人だけの話じゃないと思う。
気になる人とLINEが続いた。
2人で会った。
ちょっと笑ってくれた。
――そんな小さな「嬉しい」が続くだけで、「これはいけるかも」と思ってしまう。
でもそれは、「自分の中でだけ」気持ちが盛り上がっている状態だったりする。

そのとき、必要なのは、
「相手も同じくらいの温度で、自分に好意を抱いているか?」という確認。
恋愛は、気持ちのキャッチボール。
相手がまだグローブも構えていない状態で、片方だけが一方的に速い球を投げ続けてうまくいくはずがない。

大切なのは、お互いの“感情の温度”をすり合わせていくプロセスなのだと思う。
「感情の温度感の一致確認」とは
「感情の温度感の一致確認」――
あらためて言葉にすると、少し難しそうに聞こえるかもしれません。
でも実は、とてもシンプルなことなんです。
それはつまり、
「今、自分と相手は、どれくらい同じ気持ちでこの関係に向き合っているのか?」
を、ちゃんと見つめてみること。

そして、もしその“温度”にズレがあるなら、いったん立ち止まってみる。
そのズレを埋めたいのか、それとも引くべきか、別の選択をするのかを考えてみる。
ただそれだけの話なんです。
たとえば、こんな場面を想像してみてください。
あなたが誰かと数回会って、「すごく楽しかった」と感じている。
LINEもそこそこ続いていて、「この人、いいな」って思い始めている。
そんなときに、ちょっとだけ勇気を出して、
「今日ほんと楽しかったです!」とか
「○○さんとまた○○行ってみたいな〜」と、
相手に対して“さりげない好意”をポンと投げかけてみる。
恋愛でよくある、軽いジャブのようなやりとり。
でも、実はこれがすごく大切なプロセスなんです。

そして、ここからがポイント。
相手はどう返してくるか?
- 同じテンションで嬉しそうに返してくれるのか?
- ちょっと間が空いて、さらっと流されるのか?
- それとも、話題を変えられてしまうのか?
その反応を、ちゃんと受け取ってみる。
ここで大事なのは、
“自分の気持ちを伝えること”と同じくらい、“相手の気持ちを観察すること”。
これが、「感情の温度感の一致確認」です。
好きの100%を一気にぶつけるんじゃなくて、
“好きかも”の小さな壁打ちをしながら、相手の温度を感じていく。
そのやり取りの中で、少しずつ気持ちがすり合っていく。
お互いの「いいかも」が、自然と育っていく。
恋愛がうまくいくときって、たいていそんなプロセスがある気がします。
逆にこの確認を飛ばして、いきなり「好きです!付き合ってください!」とぶつかると、
相手にとっては「え、そんなテンションだったっけ…?」と、唐突な温度差の衝撃になってしまう。
だからこそ――
「楽しかった」→「また会いたい」→「この時間が特別だった」→「ふと相手のことを思い出す」
そんな段階的な温度のキャッチボールが、とても大切なんです。

そして、うまくいっている人たちは、この温度のすり合わせを、
すごく自然にやっています。
相手の反応を丁寧に見て、
相手のペースに合わせて言葉や行動の出し方を調整して、
ちゃんと“キャッチボール”ができているかに敏感でいる。
だから、「好き」のタイミングがズレにくいし、
相手の中でも気持ちが心地よく育っていく。

「感情の温度感を確認する」って、
もしかしたら“想像力のあるコミュニケーション”なのかもしれません。
自分の気持ちだけじゃなくて、相手の気持ちにも温度計を向けてみる。
そのうえで、次の一歩を決めていく。
恋愛がうまくいく人と、そうでない人の違いは――
きっとこの“小さな温度の観察力”にあるんじゃないか。
そんなふうに思うのです。
盲点だった「感情の温度感の一致確認」
こここまで3人の恋愛と「感情の温度感の一致確認」というテーマについて考えてきて、
私はふと、ある構造的な“盲点”に気づきました。
それは――
コミュ力が高い人にとっては、“温度の一致確認”は当たり前すぎて、無意識にやってしまっている。
一方、コミュ力が低い人にとっては、そもそも「確認する」という発想自体が存在していない。

この「一致確認」という行為そのものが、
誰にもちゃんと教えられていないまま、でも恋愛の中では“決定的な差”として現れている。
つまりこういうことです。
恋愛がうまくいっている人たちは、
「今、相手はどんな気持ちなんだろう?」と自然に想像し、
それに合わせた言葉や行動をやんわり出して、
相手の反応を見ながら、温度を揃えていくことができる。
だけど恋愛がうまくいかない人たちは、
自分の気持ちの盛り上がりだけを基準に突き進んでしまう。
「自分は好きになった。だから告白しよう」
――このシンプルな方程式の中に、“相手の温度感”という変数がごっそり抜け落ちている。
そして、この“抜け”が原因で、失恋が生まれる。

でも、誰もその原因が「一致確認の欠如」だとは気づかない。
なぜなら、それが「可視化されてこなかったコミュニケーション」だから。
これって、すごくもったいないことだと思いませんか?
だって、
「感情の温度感を一致させながら距離を縮めていく」
というスキルは、知っていて、少し意識するだけで、誰でもできることだから。
でもそれが、うまくいっている人にとっては“当たり前すぎて教えられず”、
うまくいっていない人にとっては“存在すら知らないまま失敗する”。
だからこそ、この“見えない落とし穴”を、ちゃんと言語化することに意味がある。
「一致確認って、そういうことだったのか」
「自分がうまくいかなかったのは、温度を見てなかったからかもしれない」
そんなふうに気づくだけで、これからの恋愛が少し優しくなるかもしれない。
余談:告白の因数分解
ここまで読んでくださった方は、もしかしたらこう思ったかもしれません。
「じゃあ、いつ告白すればいいの?」「どうしたら気持ちが伝わるの?」
――なので、ちょっとだけ“告白”という行為について、因数分解してみます。
告白って、実は「1つの行動」じゃなくて、
①相手への好意を伝える
×
②伝えたあとの“関係性の変化”という結果の要求
この2つの要素が合わさった行為です。

この「①好意を伝える」だけなら、とても美しいことです。
「あなたのこと、素敵だと思っています」
「一緒にいる時間が心地よくて、もっと知りたいと思っています」
――そんなふうに、誰かへのポジティブな感情を差し出すことは、純粋で、あたたかくて、誠実な行動です。
でも、「②関係性の変化の要求」が乗ると、一気に話が変わってきます。
たとえば、「だから付き合ってください」とか「他の人とは比べないで自分だけを選んでほしい」みたいに、
“相手に何かを決断させること”が含まれてくると、とたんに重さが生まれます。
しかも、そのときに「相手の温度感の確認」ができていなかったとしたら――
それはもう、
“突然のプレゼン営業”みたいなものです。

相手がどんなニーズを持っているか分からないのに、
「この商品、めっちゃ良いから買って!」って、いきなり差し出す。
これって、受け取る側からすると結構きついです。
だからこそ、「好意」と「決断の要求」は、ちゃんと分けて考える必要がある。
最初から“買ってもらう”ことを前提にせず、
まずは「この商品、ちょっと気に入ってくれたかな?」くらいの小さな温度確認を積み重ねる。
そんな風に、
“好き”という気持ちを、ゆっくり空気に馴染ませる時間がとても大切なんです。
本当に心地いい恋愛は、
「自分が言いたいことを言えたか」ではなく、
「相手にとってちょうどよい形で、気持ちが伝わったか」で決まるのかもしれません。
そしてそれは、
「相手と自分の温度が、今どれくらい一致しているか?」
を見つめるところから始まるのだと思います。

恋愛って、どこかでドラマみたいな展開を期待してしまいがちだけど、
現実は、小さな確認の連続で出来ている。
それはつまらないことではなくって、すごく相手目線で優しいことなんだと思います。
最後に:「相手にも幸せになってほしい」という想いが好き
ここまで読んでくださった方の中には、もしかしたらこう感じた方もいるかもしれません。
「恋愛って理屈じゃないでしょ?」
「そんな細かく温度を測るなんて、つまらなくない?」
「分からないからこそ、恋愛なんじゃないの?」
たしかに、そう思いたくなる気持ちも分かります。
人の心は複雑で、感情はいつも揺れ動く。
恋愛は、正解のない世界です。
でも、私はこう思います。
もしあなたが、「本当に相手のことが好き」なら。
その気持ちの根っこには、「相手にも幸せでいてほしい」という想いがあるはずです。
だとしたら、自分の気持ちだけを押し付けるのではなくて、
相手の気持ちにも、ちゃんと目を向けてみることって、つまらないことですか?

「感情の温度の一致確認」は、
“相手にどう思われているか”を試すための駆け引きではなく、
“自分の気持ちだけで突っ走って、誰かを傷つけないための思いやり”です。
それは、とても優しくて、相手目線のある美しい行為だと思うんです。
「この人と、同じ気持ちでいられているかな?」
そうやって立ち止まることは、自分のためだけじゃない。
相手のためでもあり、ふたりの関係のためでもあります。
どんなに想いが強くても、温度差があれば、
それは伝わらないどころか、時に相手を苦しめてしまう。
だからこそ、好きという気持ちに、想像力を添える。
それは「慎重になること」じゃなくて、「優しくなること」なのだと思います。
恋愛って、そういう心の丁寧さの上に、結果として少しずつ育っていくものであったら良いなと思います。
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